「毎日の掃除が大変そうだね」
『こういう町は、大抵一日に二、三回は砂を掃くんだ。だから外に干されている洗濯物も、肌着や内着といった薄い生地がないんだぜ』
それは気付かなかった、とラビは人混みを歩きながら、彼だけに聞こえるように答えた。ロープで下降した際に何枚か、――いや、ヘタをすると何十枚かの洗濯物を巻き込んでしまったが、その辺には注目していなかったからだ。
「ノエルは凄いね。オレ、全然分からなかったよ」
『凄くはねぇさ。……ずっと昔に、似たような場所をいくつも訪れた事があるからな』
どこか思い出す口調で言ったノエルは、話題を終えるように一度口を閉じた。それから、散策を始めた当初の勢いを失った大人しいラビに、こう提案した。
『町の周囲を歩いてみようぜ。人混みを歩くよりもそっちの方が気分が良いだろうし、楽しそうだ。何か面白い発見があるかもしれねぇ』
人混みを歩くよりも、というのはラビも思っていたところだったので、一つ頷いてあっさり進行方向を町の外に変えた。
『こういう町は、大抵一日に二、三回は砂を掃くんだ。だから外に干されている洗濯物も、肌着や内着といった薄い生地がないんだぜ』
それは気付かなかった、とラビは人混みを歩きながら、彼だけに聞こえるように答えた。ロープで下降した際に何枚か、――いや、ヘタをすると何十枚かの洗濯物を巻き込んでしまったが、その辺には注目していなかったからだ。
「ノエルは凄いね。オレ、全然分からなかったよ」
『凄くはねぇさ。……ずっと昔に、似たような場所をいくつも訪れた事があるからな』
どこか思い出す口調で言ったノエルは、話題を終えるように一度口を閉じた。それから、散策を始めた当初の勢いを失った大人しいラビに、こう提案した。
『町の周囲を歩いてみようぜ。人混みを歩くよりもそっちの方が気分が良いだろうし、楽しそうだ。何か面白い発見があるかもしれねぇ』
人混みを歩くよりも、というのはラビも思っていたところだったので、一つ頷いてあっさり進行方向を町の外に変えた。