『俺が捜してくるか?』

 どこを捜すべきかと考え込み、あてもなく歩きだしたラビを見てノエルがそう提案した。

『今の俺は人間の目には見えねぇし、空からなら町を出られる前に発見出来ると思うぜ』
「あ。そういえば、ノエルは空を走れるんだっけ」

 広い通りに出たところで、ラビは彼へ目を向けた。だから足跡を残さない事だって出来るし、高いところも一つ飛びで行けて高所からの飛び降りも平気であると、以前氷狼で関わったラオルテの町でも見ていた事を思い出した。

 確かに彼の足であれば、自分よりも早く町中を駆け回る事も出来るだろう。二手に分かれて捜索した方がいいのかもしれない、とラビは腕を組んで考えてみた。

「俺がここを真っ直ぐ進んだ先を捜して、ノエルが別方向を見てくるって手もありなのか…………」

 傍から見ると大きな独り言である。擦れ違う通行人がチラリと目を向けて、金髪金目だと気付いて慌てて顔をそむけた。

 ノエルが『とはいえ』と、悩ましげに言葉を続けた。