「セドリックって、心配症過ぎるところは大人になりきれてないよね」
『いや、そういう意味じゃなくてだな』

 その時、セドリックがこちらに気付いた。

 目が合った途端、凛々しい表情が和らいで優しくなる。随分大人びた微笑ではあるが、なんだかやっぱり弟みたいにも見えるから不思議だ。

「夕食時に集合という事で、それまでは各自で行動です」

 情報収集といった難しい言葉は口にせず、セドリックが簡単にそう言った。
 すると、馬車を降りた際に、一時的に走らされていた唯一の十代騎士である華奢なテトが、活気に満ちた目をこちらに向けてこう説明してきた。

「時計が付いたデカイ大衆食堂があるんだ。そっちに予約を入れておいた。その上が宿になってる」
「それって、決まった時間に集合しないと駄目なのか?」

 ラビは、思わず尋ね返してしまった。もとより団体行動には馴染みがなく、初めての町をノエルと少し散策してみるつもりなので、時間を気にかけて行動するというのもあまり乗り気がしなかったのだ。