『砂っていうキーワードからすると、考えられるのは幻影か、契約を施行した妖獣事態が力で実体化させているかって線だな。そうすると、かなり実用レベルの高い術具になる』

 しばらく経った頃、少し思案する顔をしていたノエルが、ルーファスから聞かされたザイアース遺跡にあるかもしれない『宝』の憶測を口にした。

「術具って、魔術が起こせる道具だっけ?」
『ま、そんな感じだな』

 その道具に込められた魔力が失せない限り、術具の効果は消えず魔術発動は続く。たとえば魔力分の決められた回数だけ攻撃を弾き返してくれたり、暗闇の中で松明代わりに光を起こす物もある。

 ノエルは、そうさらりと語り、推測の先を続けた。

『その遺跡では、蛇が突然現われるってあいつは言ってただろ?』
「うん。ルーファスはそう言ってたね。魔法みたいに、突然大量の蛇が現れるんだって」

 蛇は一部の毒を持っていない小型種を除き、ほとんどが害獣指定されている。攻撃性や大きさによって、指定されている害獣のクラスはそれぞれ異なった。