悪戯好きの瞳が輝いているような気がして、ラビが「なんだよ?」と若干引き気味に問い掛けると、彼は「うん」と肯いて口を開いた。

「副団長に、剣術はほぼ独学だって聞いてびっくりした」

 どうやって腕を上げたんだ、と彼は憧れの眼差しで訊いてきた。

 ラビの場合は、騎士団に入隊する前のルーファスに、下手くそだとからかわれたのがきっかけで、負けず嫌いに火が付いて剣術の猛特訓を始めていた。幼馴染の兄弟に勝負を挑んで技を盗みながら、ノエルの指導のもと、森で毎日剣を振るって腕を磨いたのだ。

 思い返せば、強くなれたのは、ずっと付き合ってくれたノエルのおかげだった。ラビは元々、彼と共に森を駆け回り動きを真似ていたから、俊敏で柔軟な身体に鍛えられていた。

 ノエルは人間の戦い方をよく知っていたから、ラビの体格や戦い方に合う剣術を選んで教えてくれた、というのもある。

 どう説明したものかと、ラビは悩んだ。

 セドリック達の別荘で剣を学んだ期間は短いので、彼らを言い訳に使うとボロが出るだろう。かといって、聞いた相手が納得するような、幼少の子どもが一人で特訓出来る方法も思い浮かばない。