「心配しないでよ。今後の事については僕と大佐の方でも上手くやるし、君のところの所長にも活躍してもらうつもりでいるから」
「はぁ、いえ、その、それは心強いのですが……、。心配なのは協力を申し出たクロシマが、ログさん達について行った事なんですよ。あいつ、うちで一番のトラブルメーカーでして……」
「とりあえず時間がないし、先に面倒事を片付けてしまおうじゃないか。早く済めば、それだけ早く打ち上げも出来る。――じゃ、後でね」
スウェンは、後ろ手を振って歩き出した。
心持ちは何だか軽かった。レッテルを一方的に張るのは、結局のところ自分自身であり、実際に話してみないと分からない事もあるんだなぁ、と後ろからハイソンの「ッまた後ほどです!」とどこか嬉しそうな声を聞いて思った。
※※※
大佐の遣いである男と共に研究所を出たスウェンは、ログの愛車ハマーが、荒々しい運転でゲートへ向かっているのが見えて「おや?」と首を捻った。
どうやらクロシマは自分の車を出さず、ログに勧められて彼の愛車を運転する事にしたらしい。ログが他人に車を運転させるのも珍しいので、そこでも、彼の相当機嫌が良いのだろうと察せた。
スウェンは迎えの車の前で、クロシマという男が運転している不慣れなハマーの運転の行方を目で追った。隣に控えていた軍人が、気をきかせて双眼鏡を渡してくれたので、ピントを素早く調整して覗き込んだ。
ハマーの運転席には、微塵の躊躇も恐れもなく、悪戯好きの目を輝かせてハンドルを握るクロシマがいた。助手席には、持ち主であるログが、クロシマと同じタイプの不敵な笑みを浮かべて豪快な指示を出している様子が見て取れ、窓の開いた後部座席には、顔を蒼白させたセイジの姿が……
……なるほど、こういう事か。
スウェンは、ハイソンの心配事についてようやく理解に至った。恐らくクロシマは、かなりの愉快犯なのだろう。
ログの愛車の行方を見守っていたスウェンは、思わず「あ」と声を上げて思考を止めた。同じようにその方向を見ていた軍人も、「えッ」と肩を跳ねさせた。
改良されて装甲車並みに頑丈な造りをしているログのハマーは、スピードを落とす事なくゲートまで突き進むと、出入り口を破壊して国道へと飛び出して行った。
「はぁ、いえ、その、それは心強いのですが……、。心配なのは協力を申し出たクロシマが、ログさん達について行った事なんですよ。あいつ、うちで一番のトラブルメーカーでして……」
「とりあえず時間がないし、先に面倒事を片付けてしまおうじゃないか。早く済めば、それだけ早く打ち上げも出来る。――じゃ、後でね」
スウェンは、後ろ手を振って歩き出した。
心持ちは何だか軽かった。レッテルを一方的に張るのは、結局のところ自分自身であり、実際に話してみないと分からない事もあるんだなぁ、と後ろからハイソンの「ッまた後ほどです!」とどこか嬉しそうな声を聞いて思った。
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大佐の遣いである男と共に研究所を出たスウェンは、ログの愛車ハマーが、荒々しい運転でゲートへ向かっているのが見えて「おや?」と首を捻った。
どうやらクロシマは自分の車を出さず、ログに勧められて彼の愛車を運転する事にしたらしい。ログが他人に車を運転させるのも珍しいので、そこでも、彼の相当機嫌が良いのだろうと察せた。
スウェンは迎えの車の前で、クロシマという男が運転している不慣れなハマーの運転の行方を目で追った。隣に控えていた軍人が、気をきかせて双眼鏡を渡してくれたので、ピントを素早く調整して覗き込んだ。
ハマーの運転席には、微塵の躊躇も恐れもなく、悪戯好きの目を輝かせてハンドルを握るクロシマがいた。助手席には、持ち主であるログが、クロシマと同じタイプの不敵な笑みを浮かべて豪快な指示を出している様子が見て取れ、窓の開いた後部座席には、顔を蒼白させたセイジの姿が……
……なるほど、こういう事か。
スウェンは、ハイソンの心配事についてようやく理解に至った。恐らくクロシマは、かなりの愉快犯なのだろう。
ログの愛車の行方を見守っていたスウェンは、思わず「あ」と声を上げて思考を止めた。同じようにその方向を見ていた軍人も、「えッ」と肩を跳ねさせた。
改良されて装甲車並みに頑丈な造りをしているログのハマーは、スピードを落とす事なくゲートまで突き進むと、出入り口を破壊して国道へと飛び出して行った。