その時、軍人特有の喧嘩に発展するのではないかと見越して、ハイソンが慌ててスウェンとログの間に入りこんだ。ハイソンの後ろでは、傍観者を決め込んだクロシマが、セイジに向かって再度チョコバーのお菓子を勧めていた。

「ちょッ、ログさん無理です! すぐには動けないので、少しだけでも安静に――」
「問題ない。ちょっと車を出して来るだけだ」
「運転する気ですか!? 無茶ですってば!」
「何だと?」

 ログが、怪訝な顔でハイソンの胸倉を掴み上げた。ハイソンは、「なんでこんなにも機嫌んが悪いんだ」と今にも死にそうな顔をしたが、スウェンが慣れたように仲裁に入り、ハイソンを解放させた。

「落ち着きなよ、ログ。エル君はどうしたんだい? まさか最悪の展開になっているとかではないよね?」
「あいつは無事だ」

 その回答を聞いて、スウェンは胸を撫で下ろした。

「そうか。つまりホテルの彼が無事にあの子を助ける事に成功したから、君が迎えに行こうとしている、という事でいいのかな?」