「ショーン博士がすぐそこまで来ている状況で、大佐としては、他の者が動く前にこの件について話し合いたいと申しております。ですので、彼らには目覚め次第、追って連絡を寄越してもらう形で――」

 その時、奥の寝台で大きな物音が上がり、スウェン達は、何事だと驚いて一斉に目を向けた。

 そこには飛び起きたログがおり、彼は身体に巻きついていた機器を勢いよく外していた。その際に機材の一つが床に滑り落ちて派手な音を立てたが、ログは構わず「邪魔くせぇッ」と悪態を吐いて、心拍などを確認する機器を身体から引き剥がした。

 スウェンは目を丸くし「どうしたの」と立ち上がって声を掛けたが、ログは気付いていないのか、壁に手をつきながら歩き出した。目覚めたばかりで身体のバランスがうまく取れないのか、一度転倒しかけた。

 ログは少し歩いたところでようやく、ベッドに腰かけるセイジと、見覚えのある大佐の遣いとスウェンに目を止めた。彼は仏頂面を更に顰めると、「お前、何してんだ」とスウェンに尋ねた。

 スウェンは、ログの体調に大きな問題はなさそうだと見て、心の中で安堵した。破壊の力を行使した際には、腕に異常が現れる事もあるが、今のところその悪影響は出ていないと視認した。

 ログは目覚めたばかりで、状況を把握していないはずだった。彼は怪訝な顔でラボ内をざっと見渡したが、元々興味がないと言わんばかりに、すぐ部屋を出て行こうとした。

 その様子を見て、スウェンは心配になった。エルがどうなったのかも聞かなければならないので、「ちょっと落ち着きなよ」とログの肩を掴んだのだが、「そんな暇はねぇ」と振り払われてしまった。