「本当だったら、ちゃんと女の子として育ててやりたかった。でも事情もあった。いつか、この世界で戦いに巻き込まれると聞かされて、俺は、俺がいなくなっても自分の身が守れるようエルを鍛える必要があった」
とはいえ、と男は困ったように視線を宙に向けた。
「ナイトメアが入っちまった事で、あいつの中で性別の意識が曖昧になってしまったみたいでなぁ。女だと言い聞かせても、ちっとも聞かなかったぜ。長い髪もやめて、スカートも履かなくなった」
「……そうか」
「まぁ、安心しろよ小僧。ナイトメアが入ったからといって、あいつの心まで男になった訳じゃねぇ。女としての第二成長が遅れているだけだ。でも、俺だって大概だよなぁ。強くさせる為だけに、あいつを男として育てちまったんだから。可愛い娘に、男として生きろと強いれるような父親は、いないだろうに」
可愛い娘なんだ、愛していたんだと、男の声は次第に小さくなり、問えていった。
とはいえ、と男は困ったように視線を宙に向けた。
「ナイトメアが入っちまった事で、あいつの中で性別の意識が曖昧になってしまったみたいでなぁ。女だと言い聞かせても、ちっとも聞かなかったぜ。長い髪もやめて、スカートも履かなくなった」
「……そうか」
「まぁ、安心しろよ小僧。ナイトメアが入ったからといって、あいつの心まで男になった訳じゃねぇ。女としての第二成長が遅れているだけだ。でも、俺だって大概だよなぁ。強くさせる為だけに、あいつを男として育てちまったんだから。可愛い娘に、男として生きろと強いれるような父親は、いないだろうに」
可愛い娘なんだ、愛していたんだと、男の声は次第に小さくなり、問えていった。