エルにしても、あの野郎にしても、勝手過ぎる。
ログは階段を駆け上がり続けながら、「畜生」と口の中で罵倒の言葉をこぼした。
つまり今回の事件については、『エリス・プログラム』を破壊するだけでは解決には至らないのだ。ホテルマンは、エルが犠牲にならなければならないような、とんでもない『力』とやらを発動するつもりなのだろう。
ファンタジー映画じゃあるまいし、とログは悪態を吐いた。
エルを無事に帰すためには、死んだはずのエルの『おじさん』や『その飼い犬』が出て来なければならない状況なのだろう。男はログをちらりと見やり、それから、質問の内容を改めて反芻し「ふむ」と片手で顎の無精髭をなぞった。
「俺も詳しくは知らん。全部終わらせる為には、発動消費分の過去がありゃいいって話しだ」
「ざっくりしてんな……」
こいつも思考タイプの軍人ではないらしい、とログは察した。
彼らよりも少し先を進んだ雑種犬が、男を振り返って「ふわっほん」と楽しそうに吠えた。
「煩ぇぞ、小僧。ポタロウも便乗してんじゃねぇ。エルは特別な『器』らしくてな。ナイトメアみてぇな、とんでもねぇ化け物を難なく受けて入れて、こちら側の世界に問題なく運び込む事が出来る『魂』とやらも持っているんだと。尚且つエルの場合は、ナイトメアが発動に必要なエネルギーも、たんまり持っているらしい」
ログは階段を駆け上がり続けながら、「畜生」と口の中で罵倒の言葉をこぼした。
つまり今回の事件については、『エリス・プログラム』を破壊するだけでは解決には至らないのだ。ホテルマンは、エルが犠牲にならなければならないような、とんでもない『力』とやらを発動するつもりなのだろう。
ファンタジー映画じゃあるまいし、とログは悪態を吐いた。
エルを無事に帰すためには、死んだはずのエルの『おじさん』や『その飼い犬』が出て来なければならない状況なのだろう。男はログをちらりと見やり、それから、質問の内容を改めて反芻し「ふむ」と片手で顎の無精髭をなぞった。
「俺も詳しくは知らん。全部終わらせる為には、発動消費分の過去がありゃいいって話しだ」
「ざっくりしてんな……」
こいつも思考タイプの軍人ではないらしい、とログは察した。
彼らよりも少し先を進んだ雑種犬が、男を振り返って「ふわっほん」と楽しそうに吠えた。
「煩ぇぞ、小僧。ポタロウも便乗してんじゃねぇ。エルは特別な『器』らしくてな。ナイトメアみてぇな、とんでもねぇ化け物を難なく受けて入れて、こちら側の世界に問題なく運び込む事が出来る『魂』とやらも持っているんだと。尚且つエルの場合は、ナイトメアが発動に必要なエネルギーも、たんまり持っているらしい」