四人と一匹は、先程上って来た階段を戻るように下った。

 スウェンから手渡された銃は軽く、持ち手も大きくなかった。エルは一通り彼から説明を聞き、操作の手順を覚えた。確かに簡単で扱い易そうだ。ひとまずロックをかけて、コートの下の腰元に差した。

 階段は長かったが、上り程の苦痛は覚えなかった。先をエルとスウェンが下り、後ろにセイジ、最後尾にログが続いた。

「エル君は、銃の経験はある?」
「本物はないよ」

 エルは即答しつつ、スウェンを睨み返した。

「言っておくけど、これ、銃刀法違反だからな」
「ふうん、なんだか初めてじゃないようだったからさ。訓練を受けた事がある感じがしたけど、僕の観察力も落ちたかな?」
「育ててくれた人から、色々と護身術は習ってはいたから」

 エルは、自分を育ててくれた人との日々を思い起こした。時には厳しかったが、最期までエルのことを愛してくれた優しい人だった。エルは懐かしさに心が揺れそうになり、無意識にクロエが入ったボストンバックを引き寄せていた。