「お前らの名前呼んでる時とか、距離が近い時とか、ああやって触らせている時だな」
「……君の男女仲って気の迷いが多いけど、自信なくなってきちゃったな。つまり、ログはエル君を撫で回したいわけ……?」
「分からん」
「分からんって、君らしいというか何というか……じゃあ、エル君が膝の上に座って来たら、どう?」

 スウェンが想像するように促すと、ログは、しばし考えるような間を置き、怪訝な表情のまま一つ肯いた。

「悪い気はしねぇな。――その場で押し倒しそうだが」 
「やめてよッ、極端過ぎて怖い! 君ってそこまで過激なタイプじゃなかっただろう!?」

 ログが変だ、どうしよう。

 スウェンは、ホテルマンとの距離がまだ開いており、セイジとエルがクロエを抱き上げて話している今のタイミングを逃してはならないと、何か判断材料はないか頭をフル回転させた。

「ッそうだ。ログ、君は必要最低限のキス以外はしなかったはずッ。エル君は、見た目が男の子だし、いかにも経験なさそ――」
「うっかり妄想した一番目のシチュエーションが、キス攻めだけで大人しくさせるアレだったんだが」
「なんて事を妄想しているんだサイテーだよッ」
「知るかよ。勝手に浮かんで来たんだ」
「……ああ、何となく分かって来ちゃったな。君、その苛々はいつからか聞いてもいいかい」

 諦めたように訊いたスウェンは、ログが「白いホテル」と答えるのを聞いて項垂れた。つまり、意外にも容姿はドンピシャだったのだろう。そして、恐らくは――

「…………君の苛々が強くなったのって、もしかしてホテルの後の、二人一組で動いた時から?」
「よく分かったな」
「……」

 もう、何と言っていいのか分からない。

 理解したのは一つだけだ。スウェンは、どうやら、これまで女性の中身を気にした事もなかったこの部下は、珍しくも、エルの性格もドンピシャだったのだろう。