そう結論に達して、エルはようやく落ち着き、そっとログを窺った。

「俺が近くにいても、怒らないって事でいいんだよね?」
「むしろ近くにいろ。離れられると落ち着かねぇ」

 ログが、眉間に皺を刻んで腕を組んだ。

 セイジが横から割り込み、「まぁ、恐らくは友人の気持ちだろうから、落ち着こう」とエルにぎこちなく笑いかけた。

「きっとログにとっても、君は大事な友人なのだろう。私も、君と仲良く出来ると嬉しい」

 嘘も付けないセイジの、人畜無害で愛情深い拙い微笑がエルを見降ろした。彼の言葉に意図があるとは考えられないので、エルは「こちらこそ光栄ですよッ」と、迷いもせず彼の手を取って握り締めた。

 ホテルマンが戻って来る姿が見え、一同は揃って腰を上げた。ログが腰に手をあて、セイジに頭を撫でられるエルを観察した。

「女として気になっているとは思うんだが、なんだろうな、この感じは。あいつを見ていると、無性に苛々する時があるんだが」
「苛々するって、どんな感じなの」

 どこかハラハラした様子で、スウェンがログに尋ね返した。