「……よく死ななかったね」
「ローランドが、俺をかばったからさ」

 ログは、静かな眼差しでエルを見つめ返した。

「あいつなら、戦闘機一つ壊す事なんて容易だった。仲間が任務遂行で死んじまうのは、俺らにとって無駄死でもねぇ。それなのに、あいつは戻って来て、その手で砲弾を受けとめたんだ。おかげで俺達の部隊は七人とも生き残れたが、一番戦闘力として重宝されていたローランドは即死だった」

 重い話のようだ。これ以上に踏み込まない方がいい。

 そう察したエルが、ログの頭からそろりと手を離した途端、彼が彼女の手を掴んだ。

「まぁ、いいから聞け」
「え。それって俺が聞いていい話なの?」
「構わない」

 ログは、はっきりとそう断言して先を続けた。

「どうかに一命は取り留めたとはいえ、俺は虫の息だった。外ではスウェンやセイジ達が闘っていたから、何も出来ないまま死んでいく事が耐えられなかった。俺は、戦って、闘って、仲間を守って死にたかった。そこに偶然居合わせたのが、アリスの父親であるショーン・ウエスターだった。俺は自分がどうなっても構わないから、戦いたいとあいつに頼んだ。そしたら、あいつは駄目になった俺の左腕に、回収したローランドの左腕の一部を移植した」

 だから『破壊の力』は左腕に宿っているのだと、ログが静かな声色でそう告げた。