「つまり、悪夢が反映されちゃうとしても、隙を見せなければ問題無いってことか。こんな事が起こったら怖いなぁっていう想像を、出来るだけしないようにすれば問題解決ッ」
「君はポジティブだな。うぅむ、私達のイメージが形になるとは聞いていないが……謎が多い場所だからなぁ、どうなんだろうか」

 セイジは、なおも考え続けていた。

 バッグに入ったままのクロエが、片目を開けて二人の様子を観察し、つまらなそうに欠伸を一つした。

「でもさ、俺はどうなんだろう? 他の人みたいに身体ごと入っちゃっているのかな。それとも貴方達みたいに、身体だけ置いて来ているのかな。途中で倒れている俺の身体を見付けた人がいるのなら、ちょっとした騒動になっていると思うけど」

 エルが歩いていたのは、人通りの多い国際通りのド真ん中だ。

 考えると途端に憂鬱になって来た。保護されたうえに捜索依頼まで出されてしまったら、エルにとっては都合が悪かった。