語るエルの穏やかな横顔を見て、スウェンが「まいったな」と苦笑をこぼした。

「君にとって、その『おじさん』とやらは、本当に良き父親だったんだね」
「うん、良い人だった。オジサンが、親族のほとんどに嫌われていたのが、今でも信じられないぐらい」

 昔の事はよく分からないけれど、エルは、オジサンの口から数回「俺がアメリカ人だったからさ」と教えられた。戦争が終わったばかりの頃だったから、異人は嫌われていたらしい。

 エルが、膝を抱き寄せてそう語ると、セイジとログ、それからマルクも揃って引っ掛かかりを覚えたような表情をした。

「……ねぇ、エル君。君の『おじさん』、もしかして米軍関係者だったりする?」
「さぁ? オジサンは、あまり自分の話をしなかったから」
「うーん、君の戦い方からすると、多分、かなり内部に関わるような軍人だった、んだろうなぁ……」

 戦闘能力の高さはそこから来ているのかと、スウェンが腑に堕ちつつも複雑そうに首を捻った。