エルは、こちらに向けられる男達の視線を前に、どうしたものかと悩んだ。スウェン達の立場を考えると、あまり個人的な話はしない方がいいような気はしたが……

 彼らと話すのは、これが最後になるだろう。エルは思い出しながら、自分の言葉で、ぽつりぽつりと話した。幼い頃に両親が死んでしまった事、オジサンが育ててくれた事、戦う術は全てオジサンから教えてもらい、二十歳に別れの日があった事を。

「家には犬のポタロウと、猫のクロエがいて、オジサンは週に四回ぐらいお仕事で出掛けたけど、必ず皆でご飯を食べて散歩もしたし……楽しかったなぁ。俺が二十歳になるまで、オジサンの身体がもったのが奇跡だって、お医者様はそう言ってた。血の繋がりはないけど、俺達は家族として一緒に暮らしていたんだ」

 とても幸せだった。彼の本当の子共であったのなら、どんな事をしてやれただろうかと考えてしまうぐらいに愛していた。他人でなかったのなら、オジサンに「好きよ」と恥ずかしがらず沢山伝えられる事が出来たのではないかと、今でも考えてしまう。