「エル君は、お酒とか大丈夫なの?」
「うん、先月の二十歳のお祝いにオジサンと飲んだよ」

 実を言うと、オジサンには二十歳以前からも晩酌に付き合わされていたのだが、エルはぎこちない笑顔でごまかした。

 エルの返答を聞いたスウェンが、「ふむ」と顎に手をあて、思案するように視線を落とした。

「そっか、二十歳……この外見で二十歳…………いや、全然そうは見えないけれど、成人しているという事は、こっちで引き取るのも問題ないと考えるべきか……」

 スウェンが口の中で独り言を呟いたが、エルは聞き取れずに顔を顰めた。

「もごもご言って聞こえないんだけど、何か問題でもあるの?」
「え。ああ、その、独り言だから気にしないで……。えぇと、たびたび君の口から出て来る『おじさん』が結構気になっていたんだけど、話してくれる?」

 今後について考えるためにも情報は必要だろうと判断し、スウェンは、ひとまずエルに悟られないよう何気ない素振りを装って尋ねた。露骨に探ると、警戒されて口を閉ざされてしまうだろうとは予測出来ていた。