しばらく会話が途切れ、『仮想空間エリス』の崩壊をぼんやりと眺めた。ホテルマンは、まだ戻って来る様子がない。
一同が沈黙していると、ふとマルクが口を開いた。
「……こんな事になっていたとはな。ここは、とても美しい未来都市であったのに」
「どんな場所だったの?」
クロエが膝の上から飛び降りて毛繕いを始めたので、エルは、膝を抱き寄せて頬杖を付いき、そう尋ね返した。すると、スウェンも「僕も興味があるね」とマルクへ目を向けた。
セイジとログの顔もそちらへと向き、マルクは、「そうだな」と遠い昔を思い出すように目を細めた。
「誰もが幸せに暮らせる都市、という感じだろうか。都心の中には公園や湖があり、夜になると、一つの陰りも残さず街頭に灯りがつく。都市には林道が敷かれ、空はどこまでも澄み渡っていて――彼女が思い描く未来都市を、私は、とても素敵な場所だと思った」
「資料はあまりないみたいだけど、映像記録はないのかい?」
凍結の際に処分でもされたの、とスウェンが訊いたが、マルクは首を小さく左右に振った。
一同が沈黙していると、ふとマルクが口を開いた。
「……こんな事になっていたとはな。ここは、とても美しい未来都市であったのに」
「どんな場所だったの?」
クロエが膝の上から飛び降りて毛繕いを始めたので、エルは、膝を抱き寄せて頬杖を付いき、そう尋ね返した。すると、スウェンも「僕も興味があるね」とマルクへ目を向けた。
セイジとログの顔もそちらへと向き、マルクは、「そうだな」と遠い昔を思い出すように目を細めた。
「誰もが幸せに暮らせる都市、という感じだろうか。都心の中には公園や湖があり、夜になると、一つの陰りも残さず街頭に灯りがつく。都市には林道が敷かれ、空はどこまでも澄み渡っていて――彼女が思い描く未来都市を、私は、とても素敵な場所だと思った」
「資料はあまりないみたいだけど、映像記録はないのかい?」
凍結の際に処分でもされたの、とスウェンが訊いたが、マルクは首を小さく左右に振った。