「『外』から電子情報を送ってもらっているが、現在の見取り図も、防衛システムの拒絶を受けて役に立たなくなってしまっている。エリアは、それぞれが独立した空間になっていて、支柱のセキュリティーが稼働している間は、見取り図上には、その空間内の地形しか反映されないらしい」

 使用している武器や道具については、現実世界にいる人間が転送システムを使い、送ってもらっているのだという。簡単にいうと、ゲームと同じ原理で、プレイヤーが装備する武器を次のステージへ進めるたび新調し、必要な物資を新たに導入させておく仕様らしい。

 けれど科学者は戦いのプロではないので、スウェン達からすると、現地で調達するが好ましいようだ。それでも利用しているのは、外部からの転送武器は小さな鞄一つに収まるというの利点があり、大きなロケットランチャー等も、スウェンのウスエトポーチ一つに収まるところにある。

 仮想空間へ入るには、機器を使って被験者の意識を【仮想空間エリス】に送るのが正規のルートだ。マルクとアリスが隊員たちの目の前で消えてしまったように、身体ごと仮想空間に入ってしまう事については、現在も調査が進められているようだ。

 仮想空間内で流れている時間については、現実世界よりも早く進む。こちら側では数日の出来事でも、現実世界では数時間も経っていないため、外で時間を掛けて調査している余裕はなく、マルクがとんでもない事を引き起こす前に事態を収拾する必要があった為、スウェン達は大佐の命を受けて【仮想空間エリス】に突入していた。

 彼らが仮想空間に突入した時、既にマルクの防衛システムは作動してしまっていた。マルクが、どういう意図で今回の事件を引き起こしたのかは不明だが、今も急ぎ調査が進められているのだという。

 それが、この三人の軍人が今に至るまでのあらすじだった。