エリスの見開いた赤い両目から、一瞬だけ狂気が薄れ、その唇が言葉を紡いだ。
「待って、あなた。もしかして『こ……』」
貴女もしかして、※※※じゃないの……?
続く言葉が分かって、エルは静かな眼差しでエリスを振り切った。もう少しだ。もう少しで助けられるから待っていてと、迷いを思考の向こうへ押し込んだ。ほんのちょっと寄り道してしまうけれど、マルクを助けたら、今度こそ貴女を助けるよ。
走り続けるログとエルの身体は、エリスの呟きを全て聞き終える前に、塔の中へと入っていた。
※※※
塔の中は、ひんやりとした湿った空気が流れていた。
外の戦闘音が響き渡る塔内の中心には、頭上の闇に真っ直ぐ伸びる一本の螺旋階段があった。周りの壁は様々な大きさの電気ケーブルで覆い尽くされており、脈拍を計測するような音も複数方向から上がっていた。
螺旋階段の周りには、大小の機械が設置されていた。その足元には大量の電気ケーブルが広がり、数十はあるモニターが、青白い光を放って薄暗い塔内を照らし出していた。
「……これ、全部が『エリス・プログラム』に必要な機材なの?」
「これぐらい大がかりじゃなきゃ造れないだろ。俺の知ってる研究施設も、こんなもんだった」
ログは答えながら、別の事を考えるように顎に手を置いた。
「待って、あなた。もしかして『こ……』」
貴女もしかして、※※※じゃないの……?
続く言葉が分かって、エルは静かな眼差しでエリスを振り切った。もう少しだ。もう少しで助けられるから待っていてと、迷いを思考の向こうへ押し込んだ。ほんのちょっと寄り道してしまうけれど、マルクを助けたら、今度こそ貴女を助けるよ。
走り続けるログとエルの身体は、エリスの呟きを全て聞き終える前に、塔の中へと入っていた。
※※※
塔の中は、ひんやりとした湿った空気が流れていた。
外の戦闘音が響き渡る塔内の中心には、頭上の闇に真っ直ぐ伸びる一本の螺旋階段があった。周りの壁は様々な大きさの電気ケーブルで覆い尽くされており、脈拍を計測するような音も複数方向から上がっていた。
螺旋階段の周りには、大小の機械が設置されていた。その足元には大量の電気ケーブルが広がり、数十はあるモニターが、青白い光を放って薄暗い塔内を照らし出していた。
「……これ、全部が『エリス・プログラム』に必要な機材なの?」
「これぐらい大がかりじゃなきゃ造れないだろ。俺の知ってる研究施設も、こんなもんだった」
ログは答えながら、別の事を考えるように顎に手を置いた。