ずっと呼ばれるのを待っていたらしいクロエは、再会を喜ぶようにエルの顔に頭をすり寄せた。エルに頭を撫でられると、満足げに喉を鳴らす。
エルは、クロエが出て来た方角へ目を向けた。エリス側からは見えない瓦礫の下の空間に、使い慣れた橙色のボストンバッグが隠されているのが確認出来た。賢い猫だ。怪我も毛並みの乱れも見られない事に、エルは安堵の息を吐いた。
一度クロエをぎゅっと抱きしめた後、エルは、横たわるアリスの傍に彼女を降ろした。
「いいかい、クロエ。アリスと一緒に、ここで待っているんだよ。俺には、やるべき事が残っているから」
「小さなお客様。この少女には私がついていましょう。『親切なお客様』達のフォローは、こちらから行わせて頂きます」
ホテルマンが言い、アリスの横に立った。彼がいるならば安心だろうと、ちらりとこちらを向いたスウェンの肩から、若干の強張りが抜けたのが分かった。これで、スウェンとセイジも、心おきなくエリスを相手に出来る。
エルは、クロエが出て来た方角へ目を向けた。エリス側からは見えない瓦礫の下の空間に、使い慣れた橙色のボストンバッグが隠されているのが確認出来た。賢い猫だ。怪我も毛並みの乱れも見られない事に、エルは安堵の息を吐いた。
一度クロエをぎゅっと抱きしめた後、エルは、横たわるアリスの傍に彼女を降ろした。
「いいかい、クロエ。アリスと一緒に、ここで待っているんだよ。俺には、やるべき事が残っているから」
「小さなお客様。この少女には私がついていましょう。『親切なお客様』達のフォローは、こちらから行わせて頂きます」
ホテルマンが言い、アリスの横に立った。彼がいるならば安心だろうと、ちらりとこちらを向いたスウェンの肩から、若干の強張りが抜けたのが分かった。これで、スウェンとセイジも、心おきなくエリスを相手に出来る。