それは前触れもない襲撃だった。塔の中央から、突如として光りの刃が降り注ぎ、衛星兵器のように次々と対地上用戦闘機MR6や大蛇、ビルや地面を深く突き刺した。対地上用戦闘機MR6のスピーカーからマルクの深い呻きが上がったが、その音声は、プツリと途切れた。

 エルが、セイジを掴んだまま、スウェン達のいる場所まで移動した。ログにジャケットをかぶせられて何も見えないアリスが、「どうなっているのッ?」とくぐもった声を上げたが、誰も答えられなかった

「……おい、なんだ、あれは」

 しばらくして、ようやく、ログが苦み潰した顔でそう訊いた。

「――『エリス』が目覚めたのですよ。あの男は、あの兵器が受けた痛覚をまともに食らって意識を手放しましたが。ご覧なさい、本物の夢を覆い隠す『人工夢世界』の母体人格、あれが、あなた方が探していた『エリス』ですよ」

 光りの刃が消え去り、大蛇や戦闘兵器が一斉に地面へと崩れ落ちる中、塔の中央に現れた強い光が、強烈な風を巻き起こし全ての粉塵を払い退けた。

 その眩い光りの中には、一つの人影があり、それは少女の姿をしていた。