喉が潤い、なくなった妹の件が脳裏を離れてようやく我に返る。そうだ、やらなければならない事があるのだ。先程、この研究について大体の事は説明されたものの、こちらの指示を急速に拒否し始めた『エリス・プログラム』のセキュリティについて、まだ話は済んでいなかった。
「ハイソンさん、あの重層セキュリティの件、どうなりましたか?」
「エラーが出まくりだよ! 何度突破しても突破してもッ――」
ハイソンが、途端に腹を抱えて丸くなった。クロシマは、それを見てふと考えた。
そう言えば俺は、彼に胃薬を渡したっけか?
「ぐぅッ、チクショー、胃が痛い……」
「まーまー落ち着いて下さいよ、ハイソンさん。ほら、胃薬を飲んで」
「飲んだんだよッ、お前が席に付いてすぐな!」
そりゃ失敬。つまり俺は寝ちまったから、その現場を確認していなかっただけなのか。
クロシマがつらつらと冷静に思っている間、ハイソンは、痛む腹を押さえながらまくしたてた。胃が痛い癖に怒鳴るから、彼の身体はどんどん前屈みになる。
「ハイソンさん、あの重層セキュリティの件、どうなりましたか?」
「エラーが出まくりだよ! 何度突破しても突破してもッ――」
ハイソンが、途端に腹を抱えて丸くなった。クロシマは、それを見てふと考えた。
そう言えば俺は、彼に胃薬を渡したっけか?
「ぐぅッ、チクショー、胃が痛い……」
「まーまー落ち着いて下さいよ、ハイソンさん。ほら、胃薬を飲んで」
「飲んだんだよッ、お前が席に付いてすぐな!」
そりゃ失敬。つまり俺は寝ちまったから、その現場を確認していなかっただけなのか。
クロシマがつらつらと冷静に思っている間、ハイソンは、痛む腹を押さえながらまくしたてた。胃が痛い癖に怒鳴るから、彼の身体はどんどん前屈みになる。