『――まぁ、ちょうど良いでしょう。彼には、メッセンジャーになって頂きましょうか。幸い、こちらの声は聞こえているようですし、役に立ちます。出来るだけプログラム主導権を奪還してもらい、脱出の為の出力権限に関しては、完全に制御可能まで持って行って頂きましょう』
アリスや、スウェン達が脱出するためのルートの事が、とエルは頭の中を整理した。
「えぇと、つまり、出口に関わることは全部取り返しておいてって事でいいのかな」
「はい。エリスが吸収してしまった精神体は、そこに絡め取られていますから、そのプログラムの拒絶を解除して頂ければ『私』が解放する事も可能ですし、――アリスを含めた人間達を、全員ここから出してしまえる事が出来ます』
「分かった。出口を確保する為の作業と、出来るだけプログラムの暴走を抑えてもらうって事だね」
『左様でございます。私は機械に関しては無力ですから、そちらは彼らに任せるしかありませんね。彼らの方で準備が整えば、後は私の方で片付けますので』
エルは、ホテルマンとの通信を終了した後、表情の見えない男に手短に話して聞かせた。
男は尻餅をついたまま、「はぁ」「なるほど」と気の抜けた返事をするような仕草で、相槌を打っていた。
アリスや、スウェン達が脱出するためのルートの事が、とエルは頭の中を整理した。
「えぇと、つまり、出口に関わることは全部取り返しておいてって事でいいのかな」
「はい。エリスが吸収してしまった精神体は、そこに絡め取られていますから、そのプログラムの拒絶を解除して頂ければ『私』が解放する事も可能ですし、――アリスを含めた人間達を、全員ここから出してしまえる事が出来ます』
「分かった。出口を確保する為の作業と、出来るだけプログラムの暴走を抑えてもらうって事だね」
『左様でございます。私は機械に関しては無力ですから、そちらは彼らに任せるしかありませんね。彼らの方で準備が整えば、後は私の方で片付けますので』
エルは、ホテルマンとの通信を終了した後、表情の見えない男に手短に話して聞かせた。
男は尻餅をついたまま、「はぁ」「なるほど」と気の抜けた返事をするような仕草で、相槌を打っていた。