エルの目の前で、ふわりふわりと逃げ惑う白い登場人物達は、早急にその数を減らしていた。大きな地響きと共に、一台の地上型戦闘兵器が建物の影から現れ、容赦なく彼らに向かって砲撃を始めていたのだ。
狂ったように発射される銃弾は、人間の形をした白い煙を蹴散らし、彼らを突き抜けて地面や建物にめり込んだ。
戦闘兵器は、操縦者の生命力を呑み込み続けているような姿をしていた。鉄の身体の一部は脈打つ人工筋肉や皮膚に覆われ、その隙間から青い装甲部分を覗かせている。強靭な鉄の腕の先には指が五本付いており、ローラーのついた二本の足には、何重にも電気ケーブルが巻きいて、頭部には穿つ穴から赤い光を灯していた。
エルは、状況をすぐさま把握する事が出来なかった。身動きも取れず佇んでいると、白い煙の人間の一人が、不意にこちらに気付いて振り返った。
どうやら、白いコートのようなものをはおった男らしい事が形で分かった。
彼が、ギョッとしたように大きな口を開いたが、音声は一切なかった。本来の姿を人造の筋肉と皮膚に浸食された戦闘兵器が、立ち止まった煙の人間に気付き、指の埋め込み式銃口を向けた。
エルは、彼を助けようと咄嗟に動いたが、伸ばした手は、彼の身体をすり抜けてしまった。
顔の良く見えないその男が、戦闘兵器を振り返り、舌打ちするように薄い煙の顔を歪めた後、向こうへ行けと指示するようにエルに向き直った。間近でその様子を見つめていエルは、ふと、ホテルマンが言っていた『意識だけを強制的に取り込まれている』らしい研究員の事を思い出した。
「もしかして、外にいた人ですか?」
エルが先頭へ行きが起こす轟音に負けないよう声を張り上げると、表情もよく見えない人形の煙が「悠長に質問しているタイミングではないだろう」と言いだけに、エルと戦闘兵器を交互に見やった。
狂ったように発射される銃弾は、人間の形をした白い煙を蹴散らし、彼らを突き抜けて地面や建物にめり込んだ。
戦闘兵器は、操縦者の生命力を呑み込み続けているような姿をしていた。鉄の身体の一部は脈打つ人工筋肉や皮膚に覆われ、その隙間から青い装甲部分を覗かせている。強靭な鉄の腕の先には指が五本付いており、ローラーのついた二本の足には、何重にも電気ケーブルが巻きいて、頭部には穿つ穴から赤い光を灯していた。
エルは、状況をすぐさま把握する事が出来なかった。身動きも取れず佇んでいると、白い煙の人間の一人が、不意にこちらに気付いて振り返った。
どうやら、白いコートのようなものをはおった男らしい事が形で分かった。
彼が、ギョッとしたように大きな口を開いたが、音声は一切なかった。本来の姿を人造の筋肉と皮膚に浸食された戦闘兵器が、立ち止まった煙の人間に気付き、指の埋め込み式銃口を向けた。
エルは、彼を助けようと咄嗟に動いたが、伸ばした手は、彼の身体をすり抜けてしまった。
顔の良く見えないその男が、戦闘兵器を振り返り、舌打ちするように薄い煙の顔を歪めた後、向こうへ行けと指示するようにエルに向き直った。間近でその様子を見つめていエルは、ふと、ホテルマンが言っていた『意識だけを強制的に取り込まれている』らしい研究員の事を思い出した。
「もしかして、外にいた人ですか?」
エルが先頭へ行きが起こす轟音に負けないよう声を張り上げると、表情もよく見えない人形の煙が「悠長に質問しているタイミングではないだろう」と言いだけに、エルと戦闘兵器を交互に見やった。