対地上用戦闘機MR6は、目にとまる人間を片っ端から押し潰し、打ち払い、怒り狂ったように殺し始めた。亡霊たちの物理的攻撃は、どうやらスウェンだけではなく、対地上用戦闘機MR6にも有効なようだ。頑丈な装甲には、引っかき傷や塗装の剥がれが目立ち、爆撃の際の窪みも確認出来た。

 スウェンは、暴れ狂うマルクを注視しながら、武器が収納されている腰のポーチを探り、的確にバズーカ砲を組み立てた。こういう時には、ゲームのような『何でも無限大に収納できる鞄』は楽だなと思った。

 というのも、スウェンの中では既に、マルクを始末する方へ優先順位が傾いていた。後々厄介な事になる前に、片付けておいた方が良さそうだと判断したのだ。

 その時、不意に、スウェンの肩を叩く者が現れた。

 まさか自分が気配に気付かないとは、と驚愕し、スウェンは反射的に腰から銃を引き抜いたが――

「ちょッ、待ってください、私ですよ!」

 そこにいたのは、出会った頃よりもスーツに張りのなくなった、何もかもが胡散臭い作りをしているホテルマンだった。