「創造の力が強い者の『夢』ほど、人の心や想いが映し出されます。あれは、ここにいた『夢人』が大事にしていた、彼の思い出の残像でしょう」

 そこへ仕事を終えたログが顔を覗かせ、エルとホテルマンの頭上から、怪訝そうな顔を覗かせた。

「おい、ホテル野郎。俺にも見えたぞ、幽霊みたいな男が。あれは一体何だ?」
「ですから、人の心が映し出されているのですよ」
「思った事や考えた事が、投影されるってのか?」
「その想いに『心』が宿れば、投影されます。思い出も同様ですよ」
「お前が言っている事は、よく解からねぇな」

 ログは、考える事を諦めたように頭をかいた。彼の後ろにいたスウェンが、「それで」とホテルマンに尋ねた。

「僕らはここから、どうやって『仮想空間エリス』まで行けばいいのかな?」
「先にお伝えしましたでしょう。ここは『駅』ですよ。迎えの列車が来ますので、それまで待ちましょう」

 ホテルマンは、ニコリともせず立ち上がった。