「もし、俺が迷子になったら……? 俺は、きっと、お前を巻き込めないよ」

 エルには、絶対に迷子にならない自信も、常に正しい道を進める自信もなかった。彼の手を離さず握り続けていたら、この先に待っている『使命』に、否応無しに引きずり込む事になるだろう。

 そんな事は、嫌だと思った。

 しかし、エルが言葉を言い終わらないうちに、ログが「んなの知るかよ」と顔を顰め、腰に回した腕に力を入れた。

「難しい事をぐだぐだと考えんな。お前が迷子になったら、一緒に出口でもなんでも探せばいいだけだろ」
「それ、二人揃って迷子とかいう構図では……?」
「迷子じゃねぇ、探索だ」

 いいか、とログは、エルに理解し難い理屈を押し通すように続けた。

「お前が勝手に一人で迷子になったら、俺が見付けてやるし、俺がその手を掴んだら、お前はいつもみたいに細かい事は考えず引っ張り回せばいい。二人で迷っちまったとしてもな、スウェンかセイジが、俺達を見付けてくれる」

 それって結局は、他力本願というやつでは……?