「『裏の子』がいない私は、力がまだ二分されていない……本来なら安定し、余分な『力』を無くして成長するまで『理』に抱かれているはずだったのに、そのまま『夢守』になってしまった」

 本来であれば、生物に関わる『夢人』は、生物に影響を与えてしまう力を持ってはいけない。そのルールが破れてしまっている特殊な状況を、少女は静かに嘆いていた。

「ひとたび『力』の発動が始まれば、私は成長のたびに、『宿主』の『未来』を食べてしまうわ。私には、それがとても恐ろしいの。歪んだ力はね、大きくなってしまうと、いずれは爆発して崩壊してしまうのよ。――どうして私は、人の中に生まれてしまったの?」

 絶対のはずの『理』が犯したミスであるのなら、それを修正するために、既に何か用意されているとは理解している。けれど、ただの『夢人』の一人でしかない少女には、『運命』まで知ることは叶わない。

 どうして、私を人間に引き合わせたの?

 夢世界の『理』は、運命と相性から『宿主』を選定する。彼らは全ての『夢人』を『子』として愛しているから、過ちを犯すはずがないのに……