しばらく進むと、ぼんやりと浮かぶ灯りがあった。霞む目を凝らしたが、いくら集中したところで、風景ははっきりと輪郭を描いてはくれなかった。
更に近づいてみると、それは切り取られた闇の中に佇む、一人の人影である事に気付けた。
エルは、ぼんやりと浮かぶ光りに目を凝らしながら、もう少し足を進めた。
小奇麗な青と白のフリルが可愛らしい、ワンピースドレスを着た少女が、癖のないストレートの長い金髪を足元に広げて座り込んでいた。その傍らには、彼女の半分の背丈もない幼い女の子が、膝丈までしかない白いワンピース姿で、ぺたりと地面に尻をついていた。
光りの中でぼんやりと輪郭を描く、顔のよく見えない少女が、鳥の囀りのような声で女児に笑い掛けた。
「あなた、知らないの? 特別な一つの存在を除いて、『夢人』は『表の子』と『裏の子』に分かれて、必ず二人一緒で生まれて来るのよ。それぞれは絶対に会う事がなくて、二つの世界は、いつも背中あわせなの」
「ふうん」
幼い女の子には、まだ難しい物事は理解出来ない。女の子は少女の話しを聞きながら、ようやく腰まで届いた黒髪を、意味もなく手で握りしめては解いていた。
更に近づいてみると、それは切り取られた闇の中に佇む、一人の人影である事に気付けた。
エルは、ぼんやりと浮かぶ光りに目を凝らしながら、もう少し足を進めた。
小奇麗な青と白のフリルが可愛らしい、ワンピースドレスを着た少女が、癖のないストレートの長い金髪を足元に広げて座り込んでいた。その傍らには、彼女の半分の背丈もない幼い女の子が、膝丈までしかない白いワンピース姿で、ぺたりと地面に尻をついていた。
光りの中でぼんやりと輪郭を描く、顔のよく見えない少女が、鳥の囀りのような声で女児に笑い掛けた。
「あなた、知らないの? 特別な一つの存在を除いて、『夢人』は『表の子』と『裏の子』に分かれて、必ず二人一緒で生まれて来るのよ。それぞれは絶対に会う事がなくて、二つの世界は、いつも背中あわせなの」
「ふうん」
幼い女の子には、まだ難しい物事は理解出来ない。女の子は少女の話しを聞きながら、ようやく腰まで届いた黒髪を、意味もなく手で握りしめては解いていた。