足の疲労が軽減されるのを待ちながら、クッキー型の非常食で糖分を補った。
明るい橙色の輝きが、木々の茂みの向こうに見え隠れしていた。頭上を仰いでいる間に、微かな地響きがエルの足元を伝っていった。
生物の気配は不思議となかった。虫も、鳥も、存在していないようだ。木々の根の下に覗く湿った地面を少し掘り返してみたが、見慣れた虫の姿一匹すら探す事が出来なかった。
クロエの背中を撫でていたホテルマンが、ふと腰を上げた。
「嫌な気配がしますね」
そう言って、ホテルマンは遠くを見やった。
「親切なお客様、森の配置が少し変わっているように思えませんか?」
促されたスウェンが、同じように辺りを見渡した。彼は立ち上がりながら、前方に目を凝らした。
「……木々が入り乱れてはいるけれど……ん? さっきと少し、違うようにも感じるな」
首の後ろを刺すような視線を感じて、エルは、不意に寒気を覚えて立ち上がった。森に漂う静寂の違和感に、ログやセイジも気付いて腰を上げる。
その時、一つの小さな囀りが上空からした。
明るい橙色の輝きが、木々の茂みの向こうに見え隠れしていた。頭上を仰いでいる間に、微かな地響きがエルの足元を伝っていった。
生物の気配は不思議となかった。虫も、鳥も、存在していないようだ。木々の根の下に覗く湿った地面を少し掘り返してみたが、見慣れた虫の姿一匹すら探す事が出来なかった。
クロエの背中を撫でていたホテルマンが、ふと腰を上げた。
「嫌な気配がしますね」
そう言って、ホテルマンは遠くを見やった。
「親切なお客様、森の配置が少し変わっているように思えませんか?」
促されたスウェンが、同じように辺りを見渡した。彼は立ち上がりながら、前方に目を凝らした。
「……木々が入り乱れてはいるけれど……ん? さっきと少し、違うようにも感じるな」
首の後ろを刺すような視線を感じて、エルは、不意に寒気を覚えて立ち上がった。森に漂う静寂の違和感に、ログやセイジも気付いて腰を上げる。
その時、一つの小さな囀りが上空からした。