その一部始終を間近で見ていたエルは、しばし呆気にとられてしまった。
「指、平気なの……? 畳みを突き刺していたけど…………」
「ん? これで少しは時間稼ぎになるだろう?」
あれ? もしかして俺の言いたい事、全然伝わってない感じ?
普通の人間であれば、畳みを指先で突き刺すなんて出来ないし、むしろ負傷していると思うのだ。あの大きくて強いオジサンでさえ、そんな芸当を見せて事などなかったというのに。
エルが呟いた傍から、スウェンが「気にしない、気にしない」と呑気に言った。
「セイジは怪力だからね。拳一つで、戦艦の装甲だって凹ませるぐらい丈夫なの」
「……なるほど、怪力が能力ってこと?」
「うん、そういう事」
守が広がる西側の座敷で、スウェン達が素早く荷支度を行う間、何もする事がないエルとホテルマンは、東側の座敷部屋の窓から、ぼんやりと巨人のありようを眺めた。
「指、平気なの……? 畳みを突き刺していたけど…………」
「ん? これで少しは時間稼ぎになるだろう?」
あれ? もしかして俺の言いたい事、全然伝わってない感じ?
普通の人間であれば、畳みを指先で突き刺すなんて出来ないし、むしろ負傷していると思うのだ。あの大きくて強いオジサンでさえ、そんな芸当を見せて事などなかったというのに。
エルが呟いた傍から、スウェンが「気にしない、気にしない」と呑気に言った。
「セイジは怪力だからね。拳一つで、戦艦の装甲だって凹ませるぐらい丈夫なの」
「……なるほど、怪力が能力ってこと?」
「うん、そういう事」
守が広がる西側の座敷で、スウェン達が素早く荷支度を行う間、何もする事がないエルとホテルマンは、東側の座敷部屋の窓から、ぼんやりと巨人のありようを眺めた。