「考えたら、食事も、ほとんどオジサンの手料理だったし」
「にゃにゃー」
「ピザ持って来た時とか、ポタロウが盗んだりソースが飛んだり大変だったから、あまり出なかったのかなぁとも思うんだよねぇ」
「にゃう?」

 クロエは小首を傾げたが、そうかも、と肯定するように「にゃ」と肯いた。

 スウェンは、猫と話すエルをしばし見守り、座り込んでから無言を貫いているログへ視線を移した。

 ログは部屋の角に背中を預け、目を閉じて腕を組んで座っていた。彼が眠っている気配はないが、それだけでも十分休めた事だろうと考え、スウェンは「ねぇログ」と声を掛けた。

「ログがコーラ派なのは知ってるけど、ほら、僕っていつも途中で寝ちゃうから分からないんだよね。ログは、映画って最後まで見る派だっけ?」
「音が煩くて眠れないからな」

 質問されてすぐ、ログが片目を開けてスウェンを見つめ返した。

「別に最後まで見ようと意識した事はねぇが、特に映画館だと大音量だろ。煩くて眠れないまま、結局、最後まで見ちまう派だよ、俺は」
「映画館って、煩いの?」

 思わずエルが尋ねると、スウェンは思い返すように「どうだったかなぁ」と顎に手を当てた。