その部屋の奥にも別の梯子がかかっており、それを登ると、沢山の壺が置かれた部屋に繋がっていた。部屋中、床が見えないほど壺が乱雑に置かれていて、部屋の向かい側に焦げ茶色の廊下が伸びていた。

 女児はその廊下を真っ直ぐ進むと、迷うことなく大広間に足を踏み入れた。そこでは大宴会が行われていたが、女児は全く見向きもせず座席の客席の脇を通過すると、上座に立てかけられた梯子を上った。

 ようやく辿り着いた先は、人の気配のない短い廊下の一角だった。

 廊下の左右には、五畳ほどの小部屋が四組並んでいた。女児は、五人の人間が廊下に立つ様子を確認した後、好きな部屋で休んでいいと告げるような手振りをし、登って来た梯子を降りて行った。

 ざっと辺りの様子を確認してみたが、どの部屋も人がおらず、障子は全て開ききっていた。開けられた窓からは強い風が吹きこんでおり、西側の部屋からは海までが一望出来たので、スウェンはそこを休憩所に決めて荷物を下ろした。

「どうやら、僕らはこの世界で一番の高台まで来たらしいねぇ」
「最上階の部屋まで案内されたのは良いとして、戻り方が分からねぇんだが……」

 ログが苦々しくぼやき、セイジを振り返った。

「おい、セイジ。お前、道順は覚えてるか?」

 問われたセイジが、勢いよく首を左右に振った。

 セイジの後ろにいたホテルマンが、「私も駄目です、目が回ってしまいました」と平気な顔で言い、その場に腰を落ち着けて、持たされた食糧品の袋を勝手に探り始めた。