「その直後から、基地外で一般人が消失してしまう事件が起こり始めた。誰も帰って来ていないとニュースでは伝えられているけど、実際に遺体のいくつかは発見されているんだ。数年前の被害者と状況が酷似していたらしい。恐らくは、仮想空間内に分子の状態で身体ごと引きこまれたか、誘拐され、何かしらの実験の後に死体だけが捨てられたか、そのどちらかだろうと軍は推測しているんだけど――」
そこで、スウェンが空気を変えるように顔を上げ、エルを肩越しに振り返り「死体の詳細までは要らないよね」と爽やかに微笑んだ。
エルは思わず顔を引き攣らせ、どうにか精一杯肯き返した。
「ま、死体を調べてもさ。どうやってこんな死体が出来上がるのか、僕らにもまるで分からなかったんだよ。機械の中のバーチャル世界に、人間がそのまま取り込まれるなんて現実的じゃないし、僕らも専門外だ」
その後一悶着あって、とスウェンは視線を階段の先へと戻しながら続けた。
そこで、スウェンが空気を変えるように顔を上げ、エルを肩越しに振り返り「死体の詳細までは要らないよね」と爽やかに微笑んだ。
エルは思わず顔を引き攣らせ、どうにか精一杯肯き返した。
「ま、死体を調べてもさ。どうやってこんな死体が出来上がるのか、僕らにもまるで分からなかったんだよ。機械の中のバーチャル世界に、人間がそのまま取り込まれるなんて現実的じゃないし、僕らも専門外だ」
その後一悶着あって、とスウェンは視線を階段の先へと戻しながら続けた。