「おいおい兄ちゃん達、やめときな。ここにゃ遊郭はねぇぞ。別に『遊郭の里』があるから、帰りにでも寄ったらいい。ここは女頭が仕切ってるからな、商品の売買は勝手だが女に手を出すとひどい目に遭うぜ」

 ログとスウェンは、女性達の様子を眺めながら上の空で「ふうん」とぼやいた。
エルとセイジが、申し訳ないと男に礼を告げると、彼は「いいってことよ。確かに、ここは安全だからこそ良い女が揃ってるからなぁ」と陽気に笑った。

 しばらく辺りを見回したログが、腕を組んだ。

「なるほど、確かに良い女が揃ってるな。道理で、クソガキが男にしか見えねぇ訳だ」
「おい。女が皆、ぼんきゅっぼんのロングヘヤー美人だと思ってんじゃねぇぞ」

 エルは、思わず拳を固めたが、途端に「チクショー」と舌打ちしてログに指先を突き付けた。

「俺だって、未だに自分の性別が信じられねぇよッ。オジサンに相談したら、『大きくなったら立派な青年になれるから、グッジョブ』って言ってたもん! だから俺は、鍛えに鍛えまくって、いずれお前の身長を抜いてやるからな!」

 まだ二十歳なのだ、きっとその可能性はある。