爆音の直後で耳がうまく音を拾えない。
エルは瞬きの間、一瞬時を忘れた。スウェンが、「守れ」と怒号したような気がしたが、彼の顔はすぐに吸血獣達の向こうに見えなくなってしまい、彼らがどんな表情を浮かべていたのか分からなかった。
けれど、エルの迷いは一瞬だった。
エルとホテルマンは、反射的に後方へ飛ぶと、コンマ二秒の間に敵との距離を計った。
傍観者となった軍人三人の存在を忘れたエルとホテルマンは、吸血獣との間合いを確認すると、ほぼ同時に地面を蹴り上げ、その高い身体能力をフルに活かして吸血獣達の上を軽々と飛び越えた。
空中に浮遊している時間は、ほんのわずかなものだったが、エルには、それがとても長い時間のように感じた。
衣服と髪、粉塵を乗せた空気の流れが、ひどくゆるやかに流れているように見えた。
エルは、ホテルマンの隣で眼下の吸血獣達を見降ろした。素早く銃を取り出すとロックを外し、間髪入れず地上にいる吸血獣の頭を狙って打ち込んだ。ホテルマンが懐から銀のナイフを複数取り出して、笑顔を貼りつかせたまま銀色の凶器を放った。
銃弾と、放たれた銀のナイフが、全て吸血獣達の頭に命中する。
先に足から着地したホテルマンが、そのまま後方へと手をつくように回転し、別方向から飛び込んで来た吸血獣を両の足を振りまわして薙ぎ払った。
エルは落下する直前に素早く銃をしまうと、ホテルマンに続いて両手で地面に着地しつつ、こちら側に向かって来る吸血獣達の数を視認した。邪魔だった一匹を右足で蹴り飛ばすと、もう一度身体を跳躍させ、腰元から抜いたコンバットナイフを煌めかせて、三匹の吸血獣の首を切り落とした。
考える余裕はない。冷静に敵を殲滅する事だけを目的に、エルとホテルマンは飛び込んでくる吸血獣を殺し続けた。気付くと二人の周りに動く吸血獣は一匹もいなくなっており、外側へと投げ出された血の染みが、二人を囲うように円を描いていた。
エルは瞬きの間、一瞬時を忘れた。スウェンが、「守れ」と怒号したような気がしたが、彼の顔はすぐに吸血獣達の向こうに見えなくなってしまい、彼らがどんな表情を浮かべていたのか分からなかった。
けれど、エルの迷いは一瞬だった。
エルとホテルマンは、反射的に後方へ飛ぶと、コンマ二秒の間に敵との距離を計った。
傍観者となった軍人三人の存在を忘れたエルとホテルマンは、吸血獣との間合いを確認すると、ほぼ同時に地面を蹴り上げ、その高い身体能力をフルに活かして吸血獣達の上を軽々と飛び越えた。
空中に浮遊している時間は、ほんのわずかなものだったが、エルには、それがとても長い時間のように感じた。
衣服と髪、粉塵を乗せた空気の流れが、ひどくゆるやかに流れているように見えた。
エルは、ホテルマンの隣で眼下の吸血獣達を見降ろした。素早く銃を取り出すとロックを外し、間髪入れず地上にいる吸血獣の頭を狙って打ち込んだ。ホテルマンが懐から銀のナイフを複数取り出して、笑顔を貼りつかせたまま銀色の凶器を放った。
銃弾と、放たれた銀のナイフが、全て吸血獣達の頭に命中する。
先に足から着地したホテルマンが、そのまま後方へと手をつくように回転し、別方向から飛び込んで来た吸血獣を両の足を振りまわして薙ぎ払った。
エルは落下する直前に素早く銃をしまうと、ホテルマンに続いて両手で地面に着地しつつ、こちら側に向かって来る吸血獣達の数を視認した。邪魔だった一匹を右足で蹴り飛ばすと、もう一度身体を跳躍させ、腰元から抜いたコンバットナイフを煌めかせて、三匹の吸血獣の首を切り落とした。
考える余裕はない。冷静に敵を殲滅する事だけを目的に、エルとホテルマンは飛び込んでくる吸血獣を殺し続けた。気付くと二人の周りに動く吸血獣は一匹もいなくなっており、外側へと投げ出された血の染みが、二人を囲うように円を描いていた。