日本人風の男の方が、小さなエルを気に掛けて、時折思慮深げな眼差しを向け「大丈夫か?」と訊いた。子供の様な扱いに、エルは苦笑を返して「大丈夫」と答えた。
仏頂面の男は、スウェンのすぐ後ろを進み、相変わらず面白くもないといった顔で、大きな身体を半ば前に倒して先を進んでいた。不機嫌なのは、自分がいるせいだろうと、エルは勘繰って苛々してもいた。
駄目だ、やっぱりあいつとは絶対に馬が合わない。
体力的な疲労に、エルが大男の背中を忌々しげに睨みつける中、スウェンは話し続けていた。
「何故そんな事故が起こってしまったのか、調査は続いた。実際に研究に参加した兵士達に訊いたところ、何名かの男達が違和感を覚えているという証言が出た。まるで、仮想空間には意思があって、ほんの一瞬、悪夢のようにするりと触れてくるような悪寒を感じる時があったらしい」
まるで幽霊を怖がる大人みたいな話だな、とエルは思った。ふと、そういえばエリスって女性の名前だな、と遅れて小さな疑問が込み上げる。
仏頂面の男は、スウェンのすぐ後ろを進み、相変わらず面白くもないといった顔で、大きな身体を半ば前に倒して先を進んでいた。不機嫌なのは、自分がいるせいだろうと、エルは勘繰って苛々してもいた。
駄目だ、やっぱりあいつとは絶対に馬が合わない。
体力的な疲労に、エルが大男の背中を忌々しげに睨みつける中、スウェンは話し続けていた。
「何故そんな事故が起こってしまったのか、調査は続いた。実際に研究に参加した兵士達に訊いたところ、何名かの男達が違和感を覚えているという証言が出た。まるで、仮想空間には意思があって、ほんの一瞬、悪夢のようにするりと触れてくるような悪寒を感じる時があったらしい」
まるで幽霊を怖がる大人みたいな話だな、とエルは思った。ふと、そういえばエリスって女性の名前だな、と遅れて小さな疑問が込み上げる。