探査機はまだ使いものにならなかったが、ホテルマンが『この広大な街』の地図を持っていた。
そんな物があるというのも不思議な話だったが、折り畳まれたベージュ色の地図には、簡単なイラストで森や村や町が描かれていた。エル達から言わせれば、それは街というよりは、一つの州や県のように見えた。
「西側の湾曲したこちらが、海です。そこから森が連なり、いくつかの村が点在しています。北東に大きく丸印の書かれた、空白になっている場所に、駅のマークが入っているでしょう? 次の『街』に渡るには、ここを目指さなければなりません」
「成程。僕らは北西にある駅を目指せばいい訳だね?」
「左様でございます。面白いのは、駅までは決して方角を見失う事がない、という事です。この駅がある土地は、草も虫も発生しない不思議な土地となっており、空の色も違うのですよ」
ホテルマンは語り、微笑して北西の空を指した。
促された空の向こうに、天へと延びる薄い翡翠色の筋が見えた。コバルトブルーの大空に、違う絵画が混ざってしまったように一点だけ、ぽっかりと切り開かれた空があった。
そんな物があるというのも不思議な話だったが、折り畳まれたベージュ色の地図には、簡単なイラストで森や村や町が描かれていた。エル達から言わせれば、それは街というよりは、一つの州や県のように見えた。
「西側の湾曲したこちらが、海です。そこから森が連なり、いくつかの村が点在しています。北東に大きく丸印の書かれた、空白になっている場所に、駅のマークが入っているでしょう? 次の『街』に渡るには、ここを目指さなければなりません」
「成程。僕らは北西にある駅を目指せばいい訳だね?」
「左様でございます。面白いのは、駅までは決して方角を見失う事がない、という事です。この駅がある土地は、草も虫も発生しない不思議な土地となっており、空の色も違うのですよ」
ホテルマンは語り、微笑して北西の空を指した。
促された空の向こうに、天へと延びる薄い翡翠色の筋が見えた。コバルトブルーの大空に、違う絵画が混ざってしまったように一点だけ、ぽっかりと切り開かれた空があった。