「なるほど、正義の戦士というわけですね! 大変素晴らしい!」
「いや、だからその、大事な任務だから君は連れて行けないという意味で――」

 スウェンは真実を物語性があるようアレンジしつつ、ホテルマンを追い払うべく力説を続けた。ログは彼の後ろで、今にも人を殺しそうな険悪な面持ちを浮かべて、さっさとこいつをぶっ飛ばして先に進もうぜ、という視線を送った。

 スウェンが言い聞かせている間、ホテルマンは、何度も深く相槌を打った。

 その間、ホテルマンは何処から取り出したのか、スウェンの話しを折らない絶妙なタイミングで、エル達にタオルを配り、クロエの身体をしっかり丁寧に拭いあげ、最後は「なるほど」と力強く言葉を締めた。

「分かりました。わたくし、全力で貴方様達のお力になれるよう、次の就職活動地までしっかりお供させて頂きます!」

 スウェンの表情が凍り付いた。彼が思考錯誤で言い聞かせた時間は長く、エル達の髪がほとんど乾いてしまっているぐらいで、衣服から滴る水気もだいぶ少なくなっていた。