ホテルマンは、真正面からログの言葉を聞きとめると、理解したと言わんばかりに二、三回、真剣な様子でしっかりと肯いた。

「そうですよね、ここで出会ったのも何かの縁。よしッ、分かりました! 観光のお手伝いを致しましょう!」
「なんでそうなるんだ! おまッ――マジで馬鹿だろ! 俺の話を全然聞いてねぇな!」
「大きなお客様、いいですか、もう少し肩の力を抜かないといけません。そうです、毛根があなたの元を去ってしまってからでは何もかも遅いのでよ! 人生これからだって時に、髪がごっそり抜けたらどうするのですか!」

 ログの額に、ピキリと青筋が立った。彼は威圧的にホテルマンを見据えると、苛立ったように胸の前で腕を組んだ。

「おい、話しがすり替わってんぞ。ハッキリ言わせてもらうが、俺達は、お前と一緒に行動するつもりはない!」
「この町の土地勘も一切ない私を、あなた様は置いて行かれるというのですか!? 貴方様は鬼ですかッ、鬼畜なのですか!? いいでしょう、ドSは大歓迎ですよ! お供致します!」

 つまり、ホテルマンは路頭に迷っており、共に行動をしたいと望んでいるのだろう。