「フロッピーの中身が壊れてしまったみたいで、ジョエルさんのパソコンで試してみても『ノーデータ』になっちゃうんです。間違って入れちゃったほうのパソコンも、ずっと画面が真っ暗で直らなくて……読み込みすると固まっちゃうって、前から言われていたのに、私……………」
「ちょっと待て」
そこで、クロシマが勢いよく上体を起こした。
「フロッピーディスクだって? なぜそんな物にデータが入っていると思った?」
「え、でも、きちんと茶封筒に入ってそこに――」
「過去の資料やデータにしても、全部新しいデータファイルに移行されているんだ。そもそも、うちがフロッピーディスクなんて代物を残している訳がないだろう」
「……確かに、そうですね。私、今までフロッピーディスクなんて、使った事ないはずなのに……」
リジーが、どこかぼんやりとした様子で呟き、首を捻った。
ハイソンは、先程の白昼夢を思い出した。あの時聞こえた幻聴は、何と言っていた? 確か、『ナイトメア』のウィルス・データを……
その時、真っ暗になっていたブラウザ画面に繋がっているPCから、一つの起動音が上がり、ハイソンはギクリと身体を強張らせた。
ハッとして一同が振り返ると、そのブラウザ画面に文字が自動入力され始めた。
――ナイ、ト、メア。ワタシが、ナイト、メア。
「……これは、所長が作った『マザー』と同じ、人工知能タイプなのか」
ハイソンは訝みつつ、眼鏡を押し上げて、近くにあった事務椅子に手を掛けて立ち上がった。
「ちょっと待て」
そこで、クロシマが勢いよく上体を起こした。
「フロッピーディスクだって? なぜそんな物にデータが入っていると思った?」
「え、でも、きちんと茶封筒に入ってそこに――」
「過去の資料やデータにしても、全部新しいデータファイルに移行されているんだ。そもそも、うちがフロッピーディスクなんて代物を残している訳がないだろう」
「……確かに、そうですね。私、今までフロッピーディスクなんて、使った事ないはずなのに……」
リジーが、どこかぼんやりとした様子で呟き、首を捻った。
ハイソンは、先程の白昼夢を思い出した。あの時聞こえた幻聴は、何と言っていた? 確か、『ナイトメア』のウィルス・データを……
その時、真っ暗になっていたブラウザ画面に繋がっているPCから、一つの起動音が上がり、ハイソンはギクリと身体を強張らせた。
ハッとして一同が振り返ると、そのブラウザ画面に文字が自動入力され始めた。
――ナイ、ト、メア。ワタシが、ナイト、メア。
「……これは、所長が作った『マザー』と同じ、人工知能タイプなのか」
ハイソンは訝みつつ、眼鏡を押し上げて、近くにあった事務椅子に手を掛けて立ち上がった。