「とにかく、今は状況を整理すべきだ」
腹を抱えながら、どうにかハイソンは上体を起こして、そう声を絞り出した。
「多分、今この研究所内で無事なのは、俺達だけだろう。まずは、それぞれが把握している状況を、手短に話し合う時間が必要だと思う」
「では、こちらから報告します」
ハイソンのそばに膝をついていた研究員のトーマスが、遠慮がちに声を上げた。
「先程、スウェンさんから報告がありました。無事、五番目のセキュリティー・エリアの支柱を破壊したそうです」
「そうか。無事、五番目のセキュリティーを……」
ハイソンは、半ば胃の辺りが軽くなるのを感じた。
どうやら、現時点で大きな問題は起こっていないらしい。あとは、最後となる六番目のセキュリティー・エリアを突破出来れば『仮想空間エリス』に突入できる。つまり、『エリス・プログラム』に手が届くのだ。
「あ、あの、私の方からも報告させて頂きます」
軽い失神から目を冷ました女性所員のリジーが、床の上に座り込んだまま、そろりと右手を上げて一同の注目を集めた。背中で簡単にまとめられた癖っ毛の赤毛が、あちらこちらへとはねていた。
腹を抱えながら、どうにかハイソンは上体を起こして、そう声を絞り出した。
「多分、今この研究所内で無事なのは、俺達だけだろう。まずは、それぞれが把握している状況を、手短に話し合う時間が必要だと思う」
「では、こちらから報告します」
ハイソンのそばに膝をついていた研究員のトーマスが、遠慮がちに声を上げた。
「先程、スウェンさんから報告がありました。無事、五番目のセキュリティー・エリアの支柱を破壊したそうです」
「そうか。無事、五番目のセキュリティーを……」
ハイソンは、半ば胃の辺りが軽くなるのを感じた。
どうやら、現時点で大きな問題は起こっていないらしい。あとは、最後となる六番目のセキュリティー・エリアを突破出来れば『仮想空間エリス』に突入できる。つまり、『エリス・プログラム』に手が届くのだ。
「あ、あの、私の方からも報告させて頂きます」
軽い失神から目を冷ました女性所員のリジーが、床の上に座り込んだまま、そろりと右手を上げて一同の注目を集めた。背中で簡単にまとめられた癖っ毛の赤毛が、あちらこちらへとはねていた。