まるで悪夢を見ているようだ、と昔誰かが言った言葉を思い出した。

　あれはいつだっただろう。実際それを目の前で見た事はないから、きっとハイソン自身が耳にした言葉ではないのは確かだ。

　そうだ、人体実験のおぞましい結末を記録している、唯一の記録ビデオが残っていたのだ。

　あれは、どこで見たのだったか。誰かが、あの珍妙なペットが関わった研究を知りたがり、乱雑に押し込められていた資料の中から、偶然、そのビデオテープを発見したのだ。

　そして、記録映像の中で、爆発の業火と血塗られたその現場を収めた何者かが、後悔と絶望の悲痛な呟きをこぼしたのだった。

　ああ、我々は、なんて事を……

　戦争のために、人間を喰らい血を求める生物を造り上げた。そのうちの数匹が制御を失い、突然変異を起こして分裂して繁殖し、次々に研究者達を――


「おい――おい、ハイソンさん。しっかりしろ」

　頬を軽く叩かれて、ハイソンは我に返った。一瞬物想いに耽った刹那の間に、眠りかけてしまったらしいと気付いた。