クロエが一度欠伸をもらし、ログがそれを横目に見て、「呑気な猫だな」と姿勢を楽に空を仰いだ。
しばらくした後、スウェンが一人肯いた。
「――じゃあ、この世界がまだあるから、君は『主』を連れて逃げ回っている訳だね?」
「うん。『主』の心がまだ鼓動しているのを、この身に感じるんだ。そうじゃなければ、俺はもう『ここ』にはいないはずだから」
少年は深く肯いたが、スウェンはやりきれないように、そっと目を細めた。
「生命としての活動が停止してしまっているのであれば、可哀そうだけれど、それは既に死んでいるんだよ。生まれながら世界の『理』というもの知っているのなら、そこに生命がない事ぐらい、君には分かっているはずだろう?」
少年は、スウェンの言葉に一切反論しなかった。こちら側の事情を知らないにしても、『主』が殺されてしまった事実は受けとめているらしい。
エルは、少年が静かに俯いて、胸元のシャツを握りしめる様子を神妙な気持ちで見つめていた。
しばらくした後、スウェンが一人肯いた。
「――じゃあ、この世界がまだあるから、君は『主』を連れて逃げ回っている訳だね?」
「うん。『主』の心がまだ鼓動しているのを、この身に感じるんだ。そうじゃなければ、俺はもう『ここ』にはいないはずだから」
少年は深く肯いたが、スウェンはやりきれないように、そっと目を細めた。
「生命としての活動が停止してしまっているのであれば、可哀そうだけれど、それは既に死んでいるんだよ。生まれながら世界の『理』というもの知っているのなら、そこに生命がない事ぐらい、君には分かっているはずだろう?」
少年は、スウェンの言葉に一切反論しなかった。こちら側の事情を知らないにしても、『主』が殺されてしまった事実は受けとめているらしい。
エルは、少年が静かに俯いて、胸元のシャツを握りしめる様子を神妙な気持ちで見つめていた。