「従わないエキストラというと、その、鼠の顔をした兵士達、だろうか……?」
「そうなんです。あいつら、突然『夢の核』のある場所に現れて、俺、びっくりしちゃって、大事な物を抱えて逃げたんです」
話す少年の瞳から、大粒の涙が流れた。彼は唇を噛みしめると、悔しさに拳を固めた。
「ひどいよ、俺の大切な『主』なのに……身体は冷たくなって、目も開かなくて、名前を呼んでも返事もしてくれないんだ…………死んじゃうって、とても悲しい事なんだね。お話も出来ないし、声も聞く事さえ叶わないんだから」
話を聞きながら、エルは、大事な人を失った過去を思い出した。
ああ、どんなに願っても二度と目を覚ましてくれないんだと、そう理解した時の悲しみが、今も胸の内側にくすぶって、胸がキリキリと痛んだ。
「……分かるよ。俺も、大切な人を失ったから」
エルは、自分の胸に手を当てて、そう呟いていた。
「病気だったけど、そんな風には全然見えない人でさ。俺の事を育ててくれて、びっくりするぐらい元気で、だけど年が明けてから、急激に衰弱していって……」
今でも覚えている。最期に微笑んだオジサンの目が静かに閉じられ、握りしめていた手から力が失われていった。呼吸が止まり、心拍が消えてもなお、大きな手はしばらく暖かくて、けれど、どんなに呼んでも応えてくれない事実に、エルは彼の死を実感したのだ。
少年は戸惑うようにエルを見たが、開きかけた口をすぐに閉じた。スウェンが「それで?」と、話の先を促したからだ。
「そうなんです。あいつら、突然『夢の核』のある場所に現れて、俺、びっくりしちゃって、大事な物を抱えて逃げたんです」
話す少年の瞳から、大粒の涙が流れた。彼は唇を噛みしめると、悔しさに拳を固めた。
「ひどいよ、俺の大切な『主』なのに……身体は冷たくなって、目も開かなくて、名前を呼んでも返事もしてくれないんだ…………死んじゃうって、とても悲しい事なんだね。お話も出来ないし、声も聞く事さえ叶わないんだから」
話を聞きながら、エルは、大事な人を失った過去を思い出した。
ああ、どんなに願っても二度と目を覚ましてくれないんだと、そう理解した時の悲しみが、今も胸の内側にくすぶって、胸がキリキリと痛んだ。
「……分かるよ。俺も、大切な人を失ったから」
エルは、自分の胸に手を当てて、そう呟いていた。
「病気だったけど、そんな風には全然見えない人でさ。俺の事を育ててくれて、びっくりするぐらい元気で、だけど年が明けてから、急激に衰弱していって……」
今でも覚えている。最期に微笑んだオジサンの目が静かに閉じられ、握りしめていた手から力が失われていった。呼吸が止まり、心拍が消えてもなお、大きな手はしばらく暖かくて、けれど、どんなに呼んでも応えてくれない事実に、エルは彼の死を実感したのだ。
少年は戸惑うようにエルを見たが、開きかけた口をすぐに閉じた。スウェンが「それで?」と、話の先を促したからだ。