先程より見通しの良くなった視界の双方から、顔つきの悪い大柄な男と、きびきびとした足取りでやってくる日本人風の大男が姿を現した。

「おいおい、こりゃあ一体どういうことだ? なんでガキが紛れ込んでんだよ」
「そういう問題ではないと思うが……装置の『入口』は先に破壊したはずだが、システムに問題でもあったのだろうか?」

 日本人風の大男が、金髪碧眼の男に向かって遠慮がちにそう切り返した。すると、金髪の男はすぐに「まあまあ、落ち着きなよ、二人とも」と宥めるように言った。

「ちゃんと話し合わなきゃ、分かるものも分からないじゃないか」

 拍子抜けするぐらい緊張感のない男達に、エルは、しばし唖然としていた。いつの間にか全身の震えは収まり、固まっていた脳が正常に機能し始める。

 エルは、段々と腹が立ってきた。彼らの事情は知らないが、こっちは巻き込まれたうえに危険にさらされたのだ。

「というか日本で、そもそも沖縄で白昼堂々と銃の乱射とか有り得ないだろ! いきなりで意味分かんないのは俺の方だし、もう少しでマジで死ぬところだったんだぞ!?」

 エルが言葉で噛みつくと、金髪の男が困ったように笑った。