逃げ惑うエキストラ達の間から、視線を感じて顔をあげたところで、セイジと目が合った。彼の大きな口が何度か開閉したが、辺りがひどい騒音に溢れていた為、お礼を言われたのか、また後で、と言われたのかは聞き取れなかった。
エルは辺りを確認した。ふと、こちらに向けられているスウェンやログの視線に気付いた。どちらも、これといって伝えたい事はなかったのか、二人の姿は、すぐに乱闘の向こうへと巻き込まれ見えなくなってしまった。
彼らの位置が、比較的出口に近い方だった事を考えながら、エルは、セイジに対して肯き返し出口へと向かって駆け出した。
これ以上の戦闘は、クロエの身体には負担となってしまうだろう。エル自身、持久力が続かない可能性も高かったので、彼女は脱出を優先にする事にした。
割れているガラス窓から外に飛び出すと、砂利道が広がっていた。エルは、眼下にある広大な海を眺めつつ、建物から離れるように下り走った。先程の光景からすると、この世界にいるどの人間でも鼠男になり得るだろうから、用心しなければならないだろう。
鼠男になった分だけ、建物内の客の姿が減少していたのだと推測出来た。あの三人にも伝えた方が良かっただろうかとも悩んだが、自分が引き返したところで「軍人ナメんなよ」とログに舌打ちされる予感を覚えた。スウェンの事だから、真っ先に気付いている可能性もある。
エルは、低地へと向けて走り続けた。何度か後方を確認したが、敵が追って来る気配はなかった。観光客と屋根の低い家から出てくる住民が、走り去るエルを、不思議そうな顔で見送った。
エルは辺りを確認した。ふと、こちらに向けられているスウェンやログの視線に気付いた。どちらも、これといって伝えたい事はなかったのか、二人の姿は、すぐに乱闘の向こうへと巻き込まれ見えなくなってしまった。
彼らの位置が、比較的出口に近い方だった事を考えながら、エルは、セイジに対して肯き返し出口へと向かって駆け出した。
これ以上の戦闘は、クロエの身体には負担となってしまうだろう。エル自身、持久力が続かない可能性も高かったので、彼女は脱出を優先にする事にした。
割れているガラス窓から外に飛び出すと、砂利道が広がっていた。エルは、眼下にある広大な海を眺めつつ、建物から離れるように下り走った。先程の光景からすると、この世界にいるどの人間でも鼠男になり得るだろうから、用心しなければならないだろう。
鼠男になった分だけ、建物内の客の姿が減少していたのだと推測出来た。あの三人にも伝えた方が良かっただろうかとも悩んだが、自分が引き返したところで「軍人ナメんなよ」とログに舌打ちされる予感を覚えた。スウェンの事だから、真っ先に気付いている可能性もある。
エルは、低地へと向けて走り続けた。何度か後方を確認したが、敵が追って来る気配はなかった。観光客と屋根の低い家から出てくる住民が、走り去るエルを、不思議そうな顔で見送った。