予想していた距離に、黒いスーツを着たサングラス姿の男がいた。彼も確実に獲物をしとめるべく、銃口の長い凶器をこちらへと構えており、その引き金に置かれた指に力が入るのが分かった。
殺し屋の冷静な指先は、確実に外さず撃って来るだろう。心臓の震えが指先に伝わりそうになったが、エルは失敗した時の想像を頭から追い出した。照準がずれれば生き残れる保証はないが、やるしかないのだ。
――くそっ、逃げちゃ駄目だ!
反射的に発砲したくなる衝動を堪え、エルは標的を凝視した。男が構える銃口から一発、そしてコンマ二秒も置かずもう一発が発砲される様子を、自身の目で確実に捉えた。
研ぎ澄まされた五感が時間の流れを止める。
男が発砲した弾丸が、空気の抵抗をまとって流れてくるのをエルは見た。
エルは弾丸の軌道から目を離さず、僅かに左へと頭を動かせて一発目の銃弾を、続けて右方向へ身体を踏み込みながら、二発目の銃弾を避けた。顔の左右を風が通り過ぎていくのを感じながら、瞬時に男の下に入り込み、男の顎下から確実に自身の銃弾を撃ち込んだ。
殺し屋の冷静な指先は、確実に外さず撃って来るだろう。心臓の震えが指先に伝わりそうになったが、エルは失敗した時の想像を頭から追い出した。照準がずれれば生き残れる保証はないが、やるしかないのだ。
――くそっ、逃げちゃ駄目だ!
反射的に発砲したくなる衝動を堪え、エルは標的を凝視した。男が構える銃口から一発、そしてコンマ二秒も置かずもう一発が発砲される様子を、自身の目で確実に捉えた。
研ぎ澄まされた五感が時間の流れを止める。
男が発砲した弾丸が、空気の抵抗をまとって流れてくるのをエルは見た。
エルは弾丸の軌道から目を離さず、僅かに左へと頭を動かせて一発目の銃弾を、続けて右方向へ身体を踏み込みながら、二発目の銃弾を避けた。顔の左右を風が通り過ぎていくのを感じながら、瞬時に男の下に入り込み、男の顎下から確実に自身の銃弾を撃ち込んだ。